株式会社内部監査

小規模企業における不備やエラーの発生要因

小規模企業では、各部門の要員が少ないために、自部署内ではダブルチェックなどの相互牽制体制を構築することが難しいところも少なくないと思います。このような場合は業務の属人性が強くなり、意図した不正ではなくとも思い込みや慣れなどから業務の正確性の維持が難しく、かつ最悪の場合は不備やエラーの発見が事態の顕在化まで遅れてしまう可能性があります。
また、このような企業では自部門の業務の正確性や網羅性、ルールの遵守状況などの「自己点検」なども行っていないことが多いため、不備やエラーの顕在化はますます遅れてしまいます。

多くの小規模企業では委員会体制を採用しています

小規模企業では、多くの場合コンプライアンスやリスク管理を委員会体制によって整備しているところが多くみられます。各部門長(といっても各部門で兼任したり、一人だけだったりしますが。)が参加し、合議制で報告、審議、経営への答申などを行いますが、委員会では記録係をかねて内部統制所管部署が事務局を務めることが一般的と思われます。
しかし、委員会は報告だけに終わっていたり、参加者が他の部署のことに立ち入らない、といった傾向が強いため、経営者がリスクに敏感でない場合は特に、形だけ委員会で審議したことにする、という形骸化が多くみられます。

委員会事務局の活性化にこそ意味がある

企業の「縦割り、タコつぼ化」は大企業でも顕著ですが小規模企業であっても多くの企業で他部署のことには口出ししない、という黙契のような意識が強い場合があり、なかなか委員会を通じた相互牽制体も機能を発揮させるためには一つステップアップさせていく必要があります。
その際には次のような対応を行ってはどうでしょうか。

委員会規定に事務局の役割として各部署のコンプライアンス、リスクに関する報告指示業務を明記する
委員会が報告を受けるのは、各部署がバラバラの事項を報告するのではなく、各部署が所管する業務の推進状況に関する報告シート、コンプライアンスに関する報告シート、リスク管理に関する報告シート、などの一覧性のあるツールを経営陣との調整を行った上で準備し、その項目を各部署から報告させることにします。
このツールに基づいて委員会として報告を受けるのですが、事務局はその内容についてさらに詳細な報告を求めることが役割であれば、自ずと会議の運営に際して緊張感をもって望むことになります。

事務ミスやエラーの発生状況などが報告されていなかったり不十分なケースに注意する
事務局はコンプライアンスやリスクの報告に注意が行きがちですが、各部署の業務の推進状況の中で、事務ミスやエラーなどの事務リスクも見落としてはなりません。事務ミスは各部署の業務の精度、すなわち企業の「業務品質のバロメーター」です。事務局の役割はともすれば見落とされる事務リスクにも注意を払うことで委員会の機能を発揮させることが重要です。

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