内部監査の外部委託の考え方
内部統制システムにおける内部監査態勢
各事業体、各種法人(以下「各事業体等」といいます。)はそれぞれの事業運営の透明性確保と自浄作用の発揮が求められ、各事業体等はそれぞれの事業体等を規制する法令等(会社法、業法等)によって内部統制システムの整備を行わなければなりません。
内部統制システムの適切な運用を担保するためには、内部統制システムが有効であることを確認するための仕組みとして、内部監査態勢を整備を行うことが、各事業体等を規制する行政機関の規則等で求められています。(金融機関は金融庁が監督指針等で明記しています。)
内部監査態勢をどのようなものとして整備運用するのか、については、各事業体等の規模・特性により、それぞれが自らの統治システム、機関配置に基づいて決定することが原則です。(取締役会等の経営判断)
内部監査態勢のあり方
内部監査態勢のあり方(形態)については、大企業においては内部監査部門並びに内部監査人を配置する方法が一般的ですが、事業体等の規模によっては部門の設置や内部監査人等の配置が制約される場合(コスト面、要員面等)があります。その場合は、これに代わる内部監査態勢をとることも上記の原則から許容されると考えられます。
すなわち、内部監査態勢の目的は、各事業体等の内部統制システムが有効であることを確認することですから、この目的を達成するために内部監査業務の実務(監査実務)を外部委託により実施することは、各事業体の選択肢の一つと考えてよいと思います。(これまでの当社の経験からは、内部監査業務の外部委託について規制機関により問題となったことは全くありません。)
外部委託において留意すべきこと
内部監査実務の外部委託において留意すべきことは、あくまで外部委託の原則である「自社の実施する内部監査」であり、その結果責任が自社にあることを実質的に確保することです。
そのため、形式的には専任・兼任を問いませんが、内部監査所管部署、所管役員等を配置し、外部委託により作成・報告を受けた内部監査報告・監査調書について、内部監査所管部署、所管役員等が確認・評価を行ってレポーティングライン(最高経営者等)に報告し、さらに最高経営者等が取締役会等に報告する、などの体制を整えておくことが重要です。
このように、内部監査実務の外部委託を行うにあたって、経営陣は自社の内部監査態勢のありよう(体制)を対外的にも十分説明できるようにしておいてほしいと思います。