「金融検査・監督の考え方と進め方」を踏まえた内部監査の方向性
今般、金融監査協会主催の講演会があり、金融庁の佐々木総合政策局長のお話しを聞くことができました。今回の講演をお聞きするなかで、当職が内部監査部門について重要と思った点について、以下の通り解説させていただきます。
1.今後の金融検査・監督の方向性
2018年6月に公表された「金融検査・監督の考え方と進め方」(以下「基本方針」という。)では、今後の金融検査・監督の基本方針を以下のようなポイントで明確化していますが、この考え方は、当分の間、内部監査を含めて「すべてのオーディット」に共通する考え方(佐々木総合政策局長)と受け止めてよいと思います。
(1)「形式・ミニマムスタンダード」から「実質・ベストプラクティス」へ
(2)「過去」から「未来」へ
(3)「部分」から「全体」へ
(4)「ルール」と「プリンシプル」のバランスへ
2.内部監査の高度化に向けた手法
「実質・未来・全体」という「内部監査の高度化」の手法として「基本方針」では、①最低基準検証、②動的な監督、③「見える化と探求型対話」、の3つの手法を挙げています。この考え方を内部監査実務に当てはめていくと、以下のようになると考えます。
(1)最低基準検証
保険会社、少額短期保険業者、保険代理店などの形態ごとに、それぞれの業務の中で遵守すべきルール等(常に最新のものに見直されていることを前提として。)の実効性や妥当性・適切性の確認を行う。この際には、従来型の「検査マニュアル方式」のチェックリストではなく、当該組織の実態を踏まえて、組織の健全性、利用者保護の観点から「内部管理態勢の実効性」を検証する項目・着眼点の設定に工夫を凝らしていく。
⇒内部監査マニュアルや確認シートの着眼点の設定を「高度化」する。
続く