Ⅰ 少額短期保険業の保険金支払管理態勢監査事例
今月は少額短期保険業の保険金支払管理態勢監査項目事例を紹介したいと思います。
少額短期保険業では少数体制で業務運営を行う企業が多いため、各監査カテゴリー共通に内部管理体制の整備状況、特に相互牽制、モニタリングと経営への報告体制の整備が不十分なケースが多くなっています。保険金支払管理態勢監査においてもこれらの観点から監査カテゴリーと項目、着眼点を設定すると経営への付加価値を提供することができます。当社がこれまでに行ってきた保険金支払管理態勢監査の主な監査カテゴリーと監査項目の事例は以下の通りです。
1 保険金支払管理態勢の整備状況(「体制」の整備・・・規程等のルールと組織・体制)
(1)保険金の適切な支払に関する方針・規程・マニュアル等の整備・周知
(2)保険金支払に関する組織・体制の整備・構築(ダブルチェック体制、他部門当による事後検証や評価体制)
(3)保険金支払管理に関するモニタリングと報告体制
(4)外部委託管理体制
(5)事務ミス等の発生防止体制
2.適切な保険金支払状況(「体制=規程等のルール」の運用状況)
ここでは上記で確認した体制に基づいて保険金支払に関するルールが遵守されているかどうか、を規程・マニュアルの項目から重要なものを抽出して個別に確認していきます。
(1)保険金請求に関する説明・案内
(2)保険事故の事実関係のと調査・確認(査定基準の遵守、鑑定評価の実施状況、告知義務違反、保険金不払い処理の適切性等)
3.保険金支払リスク管理体制の整備状況
特に経営報告が求められる重要なリスクについて、適切な管理、点検、事後検証、経営報告等の実施状況を確認していきます。場合によっては規程、マニュアル等に経営報告に関するルールがないこともあり、その場合はルールの整備を求める必要が出てきます。特にリスク管理規程等で保険金支払リスクを管理対象にしていない場合もありますので、この場合は厳しく指摘します。
(1)保険金支払管理(付随する保険金、特約の支払漏れ防止等)
(2)事案管理(長期未請求事案発生防止、事案管理等)
(3)期限等の管理(履行期管理)
(4)反社、モラルリスク、マネロン対応状況(保険金支払時の反社チェック、モラルリスク対応、リスク評価書の作成保管)
(5)保険金支払に関する記録の保管(事後検証の実施)
4.顧客保護等管理態勢
様々な項目がありますが、例えば次の項目などを多く採用しています。
(1)保険金支払に関する顧客苦情への対応と記録、報告(分析・評価と経営報告)
(2)外部委託先に寄せられた苦情の対応・管理状況
(3)再審査制度の導入状況
(4)再発防止策の検討・実施状況
5.責任準備金等の積立、収支管理態勢
(1)備金の計上、登録漏れ防止、見直し
(2)保険種類ごとの損害率、社費率、リザルト管理状況
以上です。内部監査では各社の業務内容や規模・特性に合わせて監査カテゴリーや監査項目を設定することが重要です。そのためには業法や社内規程等を読み込み、そのうえで経営陣とのリスクアセスメントミーティングを実施して認識を共有化すると経営に付加価値を提供する内部監査になります。その意味ではまずは被監査会社の「ルールベース」監査を志向することが当社の基本的な考え方です。
(2025年10月4日)
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